呑兵衛の聖地「立石」に潜入

呑兵衛の聖地「立石」をぶらっと散歩

 

1.呑んべ横丁

入り込んだ瞬間、ここはどこ? 映画のセット?

時空の空間に迷い込んだかもしれないと錯覚するほど。

 

「昭和レトロ」なんて、生易しいものではない。

雰囲気、建物、こんなところが東京にあったのかと思わせる。

 

この「呑んべ横丁」は昭和初期、洋服屋が並び「立石アパート」と呼ばれていました。

昭和40年から全て飲み屋に変わったらしいです。

 

あとで、近くのお店の店主に聞いたところでは、この駅前に再開発計画があって、この「呑んべ横丁」の一部を含む線路沿いの建物が撤去されるらしい。

 

もちろん、防災上のことなど、いろいろと問題はあるのでしょうが、実に惜しい! 

 

まだ昼間だったので、「呑んべ横丁」の店は開いてなかったが、駅前の「もつ焼き」「立ち食い寿司」にはずらり行列が。

まさに、昼飲みワンダーランド「立石」。この風景が近い将来、なくなってしまうのでしょうか・・・

 

 


2.立石様

 

駅から徒歩15分ほどのところにある立石児童遊園。

そこに併設する祠の中心に鎮座している「立石様」。

立石という地名は、この奇石が由来です。

 

この石は付近にかつて古墳があったことやその材質(房州石という凝灰石の一種)から、千葉県鋸山付近より同地に持ち込まれたらしい。

また、奈良・平安時代には立石付近を横断していた古代の官道(東海道)の道標として転用されていたようです。

 

江戸時代には高さ60センチ以上あり、「根有り石」とも呼ばれていて、江戸名所図会などにも登場し、立石様の根を掘ったことで、災いが起きたなどの伝説があります。

 

後に、立石様を削って持つと病気に効くという信仰や日清・日露戦争時に弾よけのお守りとして、持つ人が現れたことや地盤沈下などの結果、現在では地表より数センチ程度の高さしかない状況となっています。

 

 


3.葛飾区セルロイド工業発祥記念碑・・・立石は玩具の街

 

セルロイド工業は, 明治41(1908)年に 日本セルロイド人造絹糸 と 堺セルロイドが設立されると共に 本格的生産が始まりました。

 

葛飾区のセルロイド工業は これらを追って大正3(1914)年に創業されました。

その中心となったのは, 故千種稔氏がこの地に設立した「千種セルロイド工場」です。

のちに この地域はセルロイド工業の街として繁栄していきます。


このモニュメントは 渋江公園の開発に伴い, 昭和27(1952)年に建てられました。

 

セルロイドは合成樹脂の一種で、象牙の代用品として開発されました。

その後、玩具にも使用されるようになり、初期のキューピー人形はその代表例です。

実際、千種セルロイド工業もキューピー人形に力を入れ、欧米各国に輸出していたようです。

 

千種セルロイド工業は第一次世界大戦当時は注文が殺到し、活況を呈しましたが、戦後はバブルが弾け、大正9(1920)年に倒産。

 

現在、立石には「タカラトミー」の本社もあり、いまだに玩具の街としての顔も続いています。

 

 


4.證願寺

 

とてもユニークなお寺です。

外壁には猫やクジラのイラストが描かれているほか、境内にはライオンや恐竜の狛犬が置かれています。

一番の特徴であり魅力は、併設されている「プラネターリアム銀河座」。

證願寺は、世界初のプラネタリウムのあるお寺なのです。

 

 


5.超ディープスポット「遊郭跡」

 

亀戸銘酒屋街の流れで終戦の1ヶ月前から、53軒 138名の接客婦を集めて営業を開始、昭和33年まで続きました。

(昭和33年と言えば、私が生まれた年です。。。そんなに昔のことではないのです)

 

(その歴史) NHK BSでやっている番組「東京ディープ」で下記のように紹介されていました。

昭和20年6月 軍需工場で働く人のための「産業戦士慰安所」

戦後同年8月  特殊慰安施設協会(RAA)の指定

昭和21年3月  進駐軍の立ち入り禁止⇒その後は日本人相手に営業を継続

 

近くのお店の店主に、この赤線のことについていろいろとお聞きしました。

「ここで働いていた女性たちの悲しい事実があったことを忘れることはできません」という店主の言葉が大変重かった。。。

 

 


6.立石らしくないお蕎麦屋さん「玄庵」

 

ここまで、ずっとディープな「立石」を紹介してきましたが、ランチは全くそれらしくないお蕎麦屋さんで玉子焼きと鴨つくねせいろをいただきました。

 

何とこちらは葛飾御三家の1つと言われるお蕎麦屋さんです。

(もう一つは「ぶらっと柴又」で行った柴又の日曜庵です)

 

こちらでは、上記写真にあるように、そば粉にかなりの ”こだわり" があるようです。

 

玉子焼きは甘さ控えめで、お出汁がよく効いた好みの味です。

私は初めてのお蕎麦屋さんに入ったときは、必ず玉子焼きを頼むことにしています。

蕎麦と玉子焼き、これって結構、比例しているような気がします。

玉子焼きの美味しい店の蕎麦はしっかりしています。

 

こちらは元は家具屋さんだったので、テーブルや椅子にも "こだわり" があります。

ジャズが流れていて、雰囲気もいい意味で、立石らしさを裏切るGAPがいいのではないかと思いました。

 

 


7.本奥戸橋の上から「中川の先に見える東京スカイツリー」を見て、

  京成立石駅から帰途に就きました。

 

なかなか中味の濃い1日でした。。。